2022-01-01から1年間の記事一覧

道徳科の評価軸 私案

お久しぶりでございます。論文を書いて、シンポジウムに登壇して、また論文を書いて、ラウンドテーブルをコーディネートして......本務以外にあれこれとやるべきことがあって、このブログを完全に店晒し状態にしておりました。ただ、全く意外なところから、…

道徳科の学習と対話についてまとめてみた

久しぶりのblog更新です。あわただしさに追われながらも、自分の時間を見つけていかなければと考える毎日です。 今回は、道徳科の学習と「対話」といういささかシンプルに過ぎるように感じられる内容です。ただ、シンプルだからこそ、様々な授業技術を支える…

「わたしは ひろがる」の授業を子どもたちに委ねてみた

このblogをご覧の方々のほとんどは、教育関係の仕事をなさっているだろうと思います。道徳科に移行して4年となりますが、みなさんは毎週1時間の授業を楽しみに取り組んでいらっしゃるでしょうか? 私はと言えば、なかなかに苦しんでいるというのが正直なとこ…

たとえ授業者としてお叱りを受けるとしても……

久しぶりのblogへの投稿です。この間、たくさんの方々にこのblogを見ていただいているようで、恐縮しています。なにぶんにも、有益な情報を提供できているという自覚も自信もないもので…… 始めに申し上げておきますが、授業者として評価を受けるのであれば、…

道徳科における「知識」の問題を検討する~「もったいない」の授業を事例に~

この十数年の道徳の時間と道徳科の学習において、いかなる文脈においても「知識」という言葉を用いて何かが語られることは、皆無といってよいでしょう。道徳科と知識とを結びつけることがあえて避けられている背景には、「価値の教え込み批判」を回避したい…

教科書教材で困ったときの大胆なひと工夫 ~高学年の「節度」について考える授業を通して~

道徳科で検定教科書を用いるようになって、小学校では5年目を迎えました。当初感じていた違和感も少なくなったのではないかと感じる一方で、副読本時代と比べて教材選定の自由度が狭まったことに対する諸々の懸念はぬぐえないままのようにも思います。 私自…

自明とされることを問い続ける (自戒を込めて)

問い続けることなしに走り続けることがないように。そしてそんな自らを戒めるために...... 教材を作った人間が、教材のなかで「人の生き方」として提示しているものが、本当に「人の生き方」といえるものなのかと自問したことはあるでしょうか? もう10年以…

道徳科での「ちょっと気になるあの子」の学びの具体

道徳科に限らない話ですが、私たち教師は「ちょっと気になるあの子」と、どのように授業を紡ぐかに心を砕きます。この前提を理想論にしてしまわないために、授業そのものを機能させる策を考えるわけです。具体的にどう紡いでいるかについて、数年前の記録を…

人物教材の授業をどう創る? ~自作教材『薄命の天才 村山聖』を例に~

上の写真は、自作教材「薄命の天才 村山聖」の今年の授業での板書です。前回は人物を取り上げた自作教材についての私の考えを示しました。今回は、授業の概要について紹介することで、具体的な授業のイメージをもっていただければと思います。途中で、授業で…

人物を取り上げた自作教材についての考え~『薄命の天才 村山聖』を例に~

この教材を用いた道徳科の授業は、昨年(6年生)と今年(4年生)の3月に実施しました。この教材は、私が作成・編集した「自作教材」ではありますが、元になった教科書教材があります。ただ、その教材にどうしても納得のいかない部分があったため、自作教材と…

「若手教師が陥りやすい」道徳科授業の落とし穴

・ 教材だけに目が行く 本時の授業で扱う教材文だけに目を奪われ、学習指導要領に示されている内容項目を読まないで授業に向かおうとするパターンです、本時の授業の基盤となるねらいを明確にするためには、学習指導要領解説編に示された内容項目を確認して…

「登場人物への自我関与が中心の学習」に思うこと

文部科学省が取りまとめた、「「特別の教科 道徳」の指導法と評価について(報告)」の中で、考え、議論する道徳の推進に向けて、「問題解決的な学習」や「体験的な学習」と並んで提示されているのが、「登場人物への自我関与が中心の学習」です。 この指導…

道徳科 授業開きの考え方とアイディア

4月を迎えると、担任としていろいろな「○○開き」を考えて実践すると思います。「学級開き」はもちろん、各教科の「授業開き」も大きなウエイトを占めているはずです。その年の最初の授業として授業開きを位置づけるのですが、その意図はどのようなものなので…

道徳科 内容D「主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること」について考えてみた

道徳科の内容は、A~Dの4つの視点で分類整理されています。その内容Dは、「主として生命や自然、崇高なものとの関わりに関すること」として、「生命の尊さ」、「自然愛護」、「感動畏敬の念」、そして小学校高学年から中学校では「よりよく生きる喜び」を加え…

絵本と道徳科の教科書教材について

道徳科の教材で絵本もあるというものがよくあります。と言いますか、道徳科で有名教材と呼ばれるようなものは、結構絵本が原典のものが多いのです。『泣いた赤おに』などですね。 ここからは、木原の拘りです。もちろん異論はあるでしょうが... もし、私が道…

教材研究のポイント⑤ 教材に対する理解を深める

教材がもつ意義と意味をふまえて授業を構想するためには、単に教材文を読むだけではなく、その教材の背景にあるものや社会との関わり、歴史的な事実などをふまえ、教材そのものへの理解を深めることが重要です。 この指標における最初のレベルは「教材に示さ…

教材研究のポイント④ 児童生徒の実態を把握する

みなさんが学習指導案をどのような過程で作成していくかについて、思い出してみてください。どの教科の学習指導案も、最初に主題設定の理由を書くと思います。そして、その項目のひとつに、必ず「児童の実態」を書くのではないでしょうか。 授業とは、「子ど…

教材研究のポイント③ 他の内容項目との関連を考える

教材の中心をなす道徳的価値について、その内容項目を階層的にとらえて多様な思考を保障するのが、「多面的な見方」とするならば、他の内容項目やそこに含まれる道徳的諸価値との関連から多様な思考を保障するのが、「多角的な見方」だといえます。この指標…

教材研究のポイント② 本時の内容項目を理解する

道徳科の教材研究をするうえで、本時の中心となる内容項目と、そこに含まれる道徳的価値についての理解を深めることは、必須条件です。 ところで、内容項目と道徳的価値とのちがいについて考えたことはあるでしょうか。『学習指導要領解説 特別の教科 道徳編…

教材研究のポイント① 道徳的問題を的確にとらえること

道徳科における教材には、本時の学習で追求する道徳的問題が含まれています。その道徳的問題を、教師がどのようにとらえるかが、授業の成否の鍵だといえます。 道徳的問題を的確にとらえるというこの指標における最初のレベルは、「道徳的問題を見つける」こ…

道徳科 教材活用の基本的な考え

「いかに在るべきか」や「どうすべきだったか」という内省と、「いかに在りたいか」という未来思考は、理想と現実を繋ぐために大切にしたい。これらは、「いかにすれば可能か」を多様に考えることによって、現実を切り拓くための道標となるから......。 自分…

道徳科教材研究の出発点 ~教材に対する見方・考え方の5つのポイント~

道徳科の授業力を向上させたいと考えたとき、まず初めに思いつくのが、「教材に対する見方や考え方を深める」ということでしょう。この「見方や考え方」という言葉をよく使いますが、そこにどのような意味があるかを考えているでしょうか。 道徳科で「教材に…