鳥取県東部地区における、道徳科教科書採択過程への疑義と諦念

【採択結果への疑義ではありません。議論の過程の杜撰さに疑義があるだけです】


まず、私は、現在の職を賭すくらいの思いで投稿しておりますのでご承知ください。

令和6年度から使用される教科書の採択結果等が公表される時期となりました。自分が道徳科の教科書を編集・作成していることもあり、次年度以降の教科書を、自分の地域ではどのような過程で採択しているのかについて確認をするようにしています。以下のリンクに会議録がアップされています。

第2回 東部地区教科用図書採択協議会会議録(要旨)に、各教科の調査報告と協議の内容が書き上げられています。
p.22からの「道徳」を読み、内容を確認しました。採択の結果は、これまでの教科書会社のものを引き続き採択するということで、「まあ、そうなるのだろうな」と特に驚きはありませんでした。
ただ、調査員からの報告とそれに基づいた協議内容には、疑問を抱かざるを得ませんでした。

二点ある中の一点目は、「鳥取を取り上げた教材について」です。調査員の報告の中で、委員から「鳥取県の教材を使っているところは○○(教科書会社名)だけだったか」との質問に対し、調査員は「はい。委員で見たときはそうだった」と答えています。
これは事実と異なります。私が作成した教科書には、「一木一石運動~自然保護運動の先駆け」という教材を来年度から掲載するようにしています。鳥取県民なら、ましてや教職員なら、「一木一石運動」と聞いて鳥取県大山を扱った教材だとわからない者はいないと考えます。複数名の調査員すべてが、この事実を見落としたということでしょうか?それとも、別の意図があってのことでしょうか?いずれにせよ、私が作成した鳥取県を取り上げた教材は、調査員の報告では存在しなかったこととされたというのが事実として記録に残されたわけです。
この報告を受けてなされた協議でも、「○○(教科書会社名)は、鳥取の教材が使用されており……」、「鳥取の教材は○○(教科書会社名)かなと」、「教科書で鳥取の題材が使用されることはそんなに見かけない」という事実誤認に基づいた調査報告によって議論が進行されています。

もう一点、協議の中で、「(○○は)県内の元校長も執筆者の一人。県内の人間が作成に携わったという意味でも……」と、教科書編集委員に県内関係者がいることを理由に挙げています。私の携わる教科書会社は、私も含め複数名の地元の教育関係者が執筆・編集に携わっています。もちろん(あまり気は進まないのですが)教科書の奥付にも学校名と氏名は記載していますし、教育委員会には教科書の執筆・編集に関わる兼業届も提出して受理されています。そのうえでこの協議内容ですので、私は鳥取市の教育関係者として認知されていないのか、私が教科書編集に携わっていることに些かの価値も見出していないのかのどちらかだと捉えざるを得ません。

繰り返しになりますが、採択結果に一切の反論はありません。どの教科書であれ、使いこなしてみせるのが担任教師の本分です。
しかし、教科書調査員の杜撰な調査、それに基づく偏った情報による協議内容については、疑念を抱かざるを得ません、それが、教科書作成と編集に携わる者の矜持だと考えます。ましてや、自分が現在勤務している自治体がこのあり様では……

未来を創る子どもたちの教育の基盤となる重要なツールのひとつが教科書であると考えます。そこに関係するすべての人が、真摯に職責を全うする思いで取り組んでいただくことを切に願います。

(なお、以下のリンクに掲載されている全ての文書は、保存済みです)

https://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1693381969759/index.html?fbclid=IwAR3gNrGFpIbB24tcvkcXEffB3LiTaV7OZhtddhkZJ8Qyvbh2IcnVjoSsaj8

 

なお、以下のリンクは、隣接する自治体の教科書採択過程とその結果です。
誠実な調査報告と協議の過程が本当によくわかります。私の携わる教科書は採択されていませんが、その判断はそれまでの過程の公明正大さから、全く疑義を挟む余地はありません。こういった調査と協議がなされている教育委員会の方々、調査員や採択委員の先生方に敬意を表します。

先の自治体と比べ、まさに「雲泥の差」と呼ぶべきものです。

 

https://www.city.kurayoshi.lg.jp/gyousei/div/kyouiku/gakkou/w610/?fbclid=IwAR0SFGmUWJ-hj-RBQnXtUBSXoCbCj_5SEU6ZqcKHTKghGdbZxmGMHgiPkgo