行政と現場の狭間にあるもの

2019年度に不登校が理由で小中学校を30日以上欠席した児童生徒は18万1272人(過去最多)。
増加は7年連続。
約10万人が90日以上欠席。
全体の児童生徒に占める割合は、小学校で0.8%、中学校で3.9%。

 

「181,272」という数字を見る立場からは、現状の機能不全を指弾して、ドラスティックな転換を志向するのだろう。そういう絵を描く人たちが必要なことは理解できる。

 

「181,272分の1」という数字を見る立場からは、現状をどう機能させるかを志向して、そのなかで足掻くことを選択するのだろう。現場の人間の多くは、この立場なのだろうと想像するし、そうであって欲しいという願いもある。

 

「181,272」を見る立場からは、僕たちが足掻いてたどり着いた不登校の改善は、「181,271」になっただけと思えるかもしれない。でも、「181,272分の1」を見る僕たちにとっては、ただの「マイナス1」ではなくて「ゼロ」なのだ。

 

「181,272」を見る立場のなかに「181,272分の1」を見ている立場の人がいるように思えないこと。

「181,272分の1」を見る立場に対して、「181,272」を見ている人の言葉が鋭利に過ぎて届かないこと。

 

この2つが、互いの議論が噛み合わない要因のひとつではないかと感じる。この2つの立場をリアルにつなげられる存在があればと願う。子どもたちとこの国の未来の教育のために。