オンライン会議とオンライン飲み会の狭間に思う

コロナ禍の初期、最初の緊急事態宣言が出された一時期、在宅勤務が推奨されるとともに、オンライン飲み会なる現象が流行ったことは記憶に新しい。

しかし、その解除と宣言が繰り返されるなかで、人々の行動には明らかな変化が現れた。「路上飲み」が此処彼処で見られ、自粛要請に従わず酒類を提供する店舗に行列ができるようになった。

少なくとも、日常的に接することが可能な人間同士の関係において、オンライン飲み会は話題にすら上らなくなったように思う。オンライン飲み会は、1年も経たないうちに、路上飲みにとって変わられたわけだ。

この現実を見たとき、人間は、その程度の差はあれど、何かしらの直接的コミュニケーションを求めるように思える。

一方で、オンラインミーティングアプリは、遠隔地の人々をつなぐツールとして、有効に機能しているように思う。書籍の編集会議をはじめ、学会や研究会などの有り様は一変した。これまでなら、主催者が会場を設営し、参加者が様々な移動手段を利用して参集していたものが、全てオンライン上で完結するようになった。この形態は、コロナ禍が終息した後も、ある程度継続する可能性が強いのではないかと感じている。

このちがいに、日本社会とICTの現在地が現れているように思う。society5.0は、オンライン飲み会とオンライン会議との間にある人間の原初的な欲求としての直接的コミュニケーションさえも乗り越えることを指向しているのか。それは、私たち人間の本質や特性まで変更を強いるものではないだろうか。

そして、この現状によってchaosと化しつつあるのが、学校教育現場における1人1台端末の活用状況だと考えるのだが、それはまたいずれ。